絵ノファイル(ENOphile)
榎俊幸 / 作品集 (ENOKI Toshiyuki / works)

Recur

回帰・10F
「回帰」・10F(2001年)
長い坂道を歩いていると突然何かに突き当たった
私の行く手を阻む者がある
誰かが目の前に立ちはだかる
よく見ればその男は私自身だった

かくして私は、私自身と向かい合うことになったのだ
ふいに気がついた、これは鏡なのだと
今、目の前に現れた鏡によって道は塞がれてしまったのだ
だとすれば、もうここから先へは一歩も進めないのか
それとも、この鏡に映る自分を壊してでも前に進めというのか

鏡の奥を見てみれば、長い下り坂が見える
それは私が辿って来た道ではないか
そうか、私はこの道へ進めばいいのか
そうなのだ、来た道が行く道なのだ

鏡の中の男と互いに軽く挨拶を交わし、擦違った
外から見れば同時に振り返っただけなのかもしれない
でも、私は確かに前に進んだ

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テーマ:絵画 - ジャンル:学問・文化・芸術

Slanting

「頬杖をつく女」・8F
「頬杖をつく女」・8F(1987年)
避けるでもなく、跳ね返すでもなく、受け流すように。
目を合わすでもなく、背を向けるでもなく、すれ違う二人。
関係ないようであるようで、嫌いじゃないけど好きでもないような…

Profile

「横を向く裸婦」・15F
「横を向く裸婦」・15F(1988年)
茹だるような暑い夏、気温が体温に近付くと肉体が空間に溶け出してしまいそうな錯覚に陥る。
実体とは何か? 輪郭は精神と虚空を隔絶する界面膜、姿など薄皮一枚のイメージに過ぎない。
熱帯夜… 反転しそうな闇の中に異人達はその姿を現すかも知れない。

Avec

「若い女と男」・100F
「若い女と男」・100F(1988年)
この作品を描いたのは今から20年も前のこと、漠然とだが アダムとイヴ を暗示している・・・ 
この頃の私にとって、 恋愛 大きなテーマであったようだ。

Alone

「ひとり」・15F
「ひとり」・15F(1989年)
瞑想をするときには目を閉じる。
しかし、それは何も見ないということではない。
外界に対する目を閉じ、内なる目を開くということだ。

Spiritual

「精霊の森」・40P
「精霊の森」・40P(1989年)
輝く金泥と滲む墨。 光と影のあわいに浮かび上がるアフロディテ。

Aquarium

「AQUARIUM 4」・100F
「AQUARIUM 4」・100F(1990年)
生命進化の旅のスタートである海。 水循環の旅のゴールでもある海。
海から進化した生命は陸上へ進出、やがて空へ、そして宇宙を目指す。

Andromeda

「ANDROMEDA」・100F
「ANDROMEDA」・100F(1991年)
M31星雲はアンドロメダ座の中央付近に位置する渦巻き銀河である。
大宇宙には我々の住む銀河系を始め、同じような銀河が無数に存在しているのだ。
それぞれの銀河には地球に良く似た天体が存在し、人間に良く似た生物も存在するかも知れない。

Somnus

「眠り」・97.0×33.5㎝
「眠り」・97.0×33.5㎝(1992年)
冴えた星空。 オライオンに護られた兎。 草葉の陰で羽を休めるプシュケ(蝶)。 

Nocturne

「夜の詩」・38.0×38.0㎝
「夜の詩」・額/38.0×38.0㎝(1994年)
目を閉じて耳を澄ませる、それは微かに聴こえてくる。
星々が囁いている、星座が何かを告げようとしている。
黄道12宮の物語は夜空を巡り廻り続ける。

Gray

「灰かぶり」・20F
「灰かぶり」・20F(1997年)
私は上を向いて生きていく。
上の者から見下されても、蔑まれても、それでも私は、下から上を見上げる。
下の者がより下の者を見下して、自分で自分を慰めたりなんかしない。
相対的な上下関係ではない。 絶対的な高みに昇りたいと願っているのだから。
いつか、誰かが、私を愛してくれると信じている。

Scarlet

「THE SCARLET」・100P
「THE SCARLET」・100P(1997年)
深い森の奥に入ると、遠くを見通すことは出来ない。
水辺のハーブに身を横たえ、自分の真上を見上げてみる。
まるで魂を誘うかのように、空がぽっかりと口を開く。
螺旋を描いて飛ぶカラス達、これから起こる何かを待っているように。
草木の陰に蠢く生き物、忍び寄る黒い魚影、咲き乱れる花々、飛び交う虫達。
「ナマズの口は何故そんなに大きいの? カエルの舌は何故そんなに長いの? クモの巣は何故…」
「それは捕食をするためだよ、あれもこれも捕食、そう捕食、捕食…」
「森の中では小さな命がより小さな命を捕食して、そうやって森の命は循環し続けるんだ…」
「花がこんなに可愛いのは何故? 蜜がこんなに甘いのは…」
「それはね…」

Rose

「茨と帛」・909×909㎜
「茨と帛」・30S(1997年)
野に咲く花を、柔らかな帛のように、優しく包む。

Blanc

「THE WHITE」・100F
「THE WHITE」・100F(1999年)
「この雪のように白く、この血のように紅く、そしてこの黒檀のように黒い子供が欲しい」。
やがて生まれた子供は、雪のように白く、血のように紅く、そして黒檀のように黒い髪の娘だった。
こんな強烈な色のイメージで始まる物語が、グリム童話の「雪白」である。
この物語の中には魔術(中世ヨーロッパの呪術)を使う継母が登場する。
殺害したはずの雪白が蘇生することを恐れた継母は、死者の蘇りを封じる3つの呪いをかける。

Atmosphere

ATMOSPHERE・100F
「ATMOSPHERE」・100F(1999年)
今ここに私はいる。
しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。
私も、私を見ているあなたも、いつまでもここにはいられないのだ。
人も、鳥も、魚も、みんな遠い何処かに、違う何かかに還っていく。
魚は水に、水は雲に、雲は鳥に、鳥は風に、風は音に、音は歌に、歌は人に・・・
泳ぎだした魚は無限に流れる循環の川を遡り、「空」へと向かう長い長い旅に出る。

Cocoon

「繭」・30F
「繭」・40F(2000年)
数日間、地平線から太陽が昇らなかった。
だんだん寒くなって来て、そしてこのまま全てが凍ってしまうのだろう。
背中に小さな翼が生えてきた、何のために?
不思議と恐怖は感じない、何故だか安らかな気持ちになれる。
雪が、茨が、私を包み込んでくれる、私を護ってくれる。
今はとても眠い、抗わずに眠ってしまおう。
きっともう直ぐ太陽が昇る、必ず復活の時は来る。
それを信じて今夜は眠ろう。
今夜は聖夜なのだから…

Metamorphosis

羽化
「羽化」・80F(2000年)
その世界は腐敗していた。
人々は虫食いだらけの果実のように体内から朽ち始める。
今こそ変わらなくては。
古い神話を初期化するのだ。
 
プログラムを書き換えられた細胞は変成を始める。
創世は進化に、奇跡は科学に、復活は、再起動する…
蘇生した肉体は全ての穢れを無垢に帰し、ルネッサンスの微笑みに姿を変えた。

Homo Volatilis

tobumono.jpg
「翔ぶ者」・80F(2000年)
仕事を終えて照明を落としたアトリエ。
天窓から月光が差し込んでいる。
美しい光景だ。
これをあなた達にも見せてあげたい。

ここから私の作品は生まれる。
実際に絵を描くのは昼の明るいアトリエだ。
しかし、この闇を通り抜けなければ創造は生まれない。
死と紙一重のこの闇を…

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ENOKI Toshiyuki

Author:ENOKI Toshiyuki

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