絵ノファイル(ENOphile)
榎俊幸 / 作品集 (ENOKI Toshiyuki / works)

Wing

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● 「DRAGON WING」・8F(2011年) パネル・キャンバス・アクリル
★ 「DRAGON」展 12月30日(金)→1月16日(月)新宿島屋10階美術画廊
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● 「DRAGON WING」・(部分)
東洋の龍は「水」の循環を象徴している。それに対して西洋のドラゴンは何を象徴するのか?
ドラゴンは「風」を象徴する翼を持ち、口からは火や毒を吐く、「炎」や「災」の象徴でもある。
龍は「雷龍+水神」→「雷神」に重なり、ドラゴンは「飛龍+火神」→「風神」に重なる。
 
3月11日の大震災で東北地方沿岸を襲った大津波は、まさに怒りに荒れ狂う海龍の様だった。
そして原発事故で上がった爆炎、風に乗ってまき散らされた放射能はドラゴンの毒に喩えられる。
「龍」は自然災害(神の怒り)、「ドラゴン」は戦争や事故や伝染病(人災)なのだろうか?
 
我々は、これらのモンスターと闇雲に戦ってはいけないが、逃げてばかりもいられない。
むしろ彼らと上手に距離をとりながら徐々に飼い馴らして行く必要がある。
彼らは災いでもあるが大きな力でもある。彼らを理解し、手なずけ、その力を手に入れたい。
竜とは何者であるのか?その姿を見極め、つぶさに描き出すのだ。
 
画家(彫刻家)が竜を描く(彫る)意味とは何だろう?
一つは鎮魂の意味があると思う、特に今はその時であろう。
そしてもう一つは常に「竜」を忘れてはいけないと言う事だ。
「天災は忘れた頃にやって来る」と言う言葉が意味するように。
自然の脅威、人の手に負えない大きな力と向き合う心構えである。
それらを竜の姿に託して、常にその姿を見て考える事が大切である。
 
 
★ ブータン国王の言葉

みなさんは、竜を見たことがありますか?私は、竜を見たことがあります。
竜は一人ひとりの心の中にいます。私たちは「人格」という名の竜を持っています。
竜は私たちみんなの心の中に居て、「経験」を食べて成長します。
だから、私たちは日増しに強くなるのです。
そして、感情をコントロールして生きていく事が大切です。
どうか自分の竜を大きく素晴らしく育てていって欲しい。
 
  
自分の中に竜を持っていない者は、力を持っていない者だ。
しかし、逆に強い竜を持つ者は、その扱いをいい加減にしてはいけない。
自分の人格よりも強過ぎる竜を持ってしまった者は、その竜に我が身を滅ぼされる。 
自分の中の竜と真正面から向き合い、真摯に対話し、その魂を鎮める事が大切だ。
自分の中の竜は決して悪者ではない、恐がらずに竜をしっかり見つめる事だ。
 
また神話やおとぎ話に描かれる龍は陰の支配者でもある。
西洋のおとぎ話のドラゴン退治では、少年が自立して結婚するまでを描いている。
おとぎ話のドラゴンとは何かの比喩である、少年はいったい何と戦うのか?
成長期の青少年には様々な呪縛が存在する。それらが自由を拘束する枷となる。
少年は成長するに従って、それらの枷をひとつずつ外して行かなくてはならない。
その最大の枷となる呪縛が母親の存在だ、母親は少年を呑み込もうとするドラゴンだ。
日本昔話の「タツの子太郎」でも母親の愛情が変容した龍として描かれている。
おとぎ話の少年は自らの力で剣を鍛え自らの手でドラゴンを退治しなければならない。
しかし、これは単純にマザコンを断ち切るというだけの比喩ではない。
自分を保護育成してくれる愛情や力に対しては、甘えや依存心が芽生え易い。
竜を退治する事には、何らかの力への依存を脱し、自己を確立するという意味がある。
日本の神話でも「大蛇(龍)」を退治して宝剣を手に入れるというエピソードがある。
ドラゴンや龍を乗り越え、それらを制する者は大きな力を得るという意味だ。
 
「成長の三段階」 と言うニーチェの言葉がある 。
これは比喩的な表現で 「駱駝」 → 「獅子」 → 「子供」 と変化して行く。
従順に多くの教えを学ぼうとする 「駱駝」 。
自分を縛りつける教えを破壊する 「獅子」 。
何事にも縛られず自由に歩きだす 「子供」 。 
この中で獅子が破壊する教えが、形骸化したドラゴンである。
(ニーチェにとってはキリスト教の神学や伝統や仕来たり)
獅子は破壊したドラゴンから翼をもぎ取り我がものにする。
ドラゴンの翼こそ飛躍する力である。
翼を持たない獅子は単なる壊し屋でしかない。
翼と言う飛躍力を得た獅子は高い次元へと昇り世界を俯瞰出来る。
次の世界の創造は、全てはその俯瞰から始まる。
今、我々に必要とされるものこそドラゴンの翼なのである。

榎俊幸 ホームページ ENOIST




 
 

 
 
 
 
 

  

 
 
 
 
 

 
 
 
  



 
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