
●「Capricorn」・60P(2017年)アクリック・油彩・金箔・銀箔。
この絵を描き始めたのは、今から24年前のことである。
下地のマチエールを作り、主題の Capricorn を下描きした。
しかし、そこで制作を中断する。
家の引っ越しがあって、描きかけの絵を、倉庫にしまい込んだ。
そして、そのまま、忘れていた。
その絵が、24年の眠りから、目を覚ました。
描き始めたときには、完成のビジョンが有ったはずだが…
目が覚めると忘れてしまう夢のように、記憶は平行世界に消えていく。
置き去りにされた残像は、不条理で、説明がつかない。
いったいぜんたい、おまえは、何ものなのだ?
「パニック (panic)」という言葉がある。
語源は、ギリシャ神話の牧羊神「パン(pan)」に由来する。
羊の群れが、何かに驚いて暴走する現象を、パンの悪戯だと、羊飼いたちは考えた。
あるいは、怪物に襲われたパンが、驚いて川に飛び込んで逃た、という神話もある。
そのとき、パンと一緒に川に飛び込んだアポロンは、魚に変身して逃げた。
慌てふためいたパンは、水に濡れた下半身だけが魚に、上半身が山羊に変身した。
その不思議な姿が「山羊座」になった。 アポロンは「魚座」になった。
「山羊座」を、ラテン語では「カプリコーン(Capricorn)」という。
カプリ(Capri)は山羊(やぎ)、コーン(icorn)は角(つの)を意味する。
水に潜る魚と、山に登る山羊を併せ持つカプリコーンは、万能の象徴でもある。
思い出せない夢を見続けるよりも、全てを0に戻して、1からやり直すべきだが、 しかし・・・
16th March, until 16th April, 2017 at Whitestone Gallery Hollywood Road.